現在名古屋市には約80箇所に及ぶ就労移行支援事業所が存在しています。
これだけの選択肢があると、「どの事業所が自分に合うのだろうか」「何を基準に選べばいいんだろう」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? さらに、そもそも就労移行支援事業所がどのようなサポートを行っているのか、よくわからないという方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、自分に合った就労移行支援事業所を見つけるために押さえておきたい6つのポイントをご紹介します。選び方のコツを知り、この記事が理想の職場へと近づくための足がかりとなれば幸いです。
就労移行支援事業所とは
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づき提供される「障害福祉サービス」の一つです。
- 病気により、就活に向かうやる気が出ない。
- 生活リズムの乱れや体調不良があり、就職が不安。
- 病気の症状や特性から、就労が長続きしない。
といったような、障害や体調面に不安を抱える方がスムーズに就職し、長く安定して働き続けられるようサポートするための施設です。ここでは、就職活動の支援だけでなく、職場で必要なスキルや生活リズムの整え方、メンタルサポートも提供します。
事業所によって特色も異なりますが、たとえば、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルのトレーニング、PCの使い方講座、実習を通じた職場体験など、個人のペースや目標に合わせたプログラムを提供するのが就労移行支援事業所の主な役割です。
就労移行支援事業所を選ぶための6つのポイント
就労移行支援事業所の数が多いなか、どの事業所が自分に最適なのか、何を基準に選べば良いのか迷ってしまう方も少なくありません。各事業所ごとに特色があり、提供されるプログラムやサポート内容も異なるため、より良い選択をするためにどのポイントに気をつけるべきかについて紹介していきます。
Point.1 支援内容やプログラムの充実度
事業所によって得意とする分野や提供するプログラム、サポート内容に違いがあることがあります。まずは自分の目標や課題に合ったプログラムがあるか、トレーニング内容やサポートが充実しているかを確認してみましょう。
例えば、資格取得・パソコンスキルに重きを置いた事業所や、ITスキルに特化した事業所などがあります。具体的に働きたい業種が明確な方は、その業種に特化した就労移行支援事業所があるかを一度探してみましょう。
まだ希望の職種が決まっていない、という方もご安心ください。就労移行支援施設によっては適性職業診断を受けられるほか、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルといった幅広く役立つプログラムを提供している事業所もあります。職種が決まっていない、自分に合った仕事がわからないという方は、こうした支援を提供する事業所を選ぶのがおすすめです。
Point.2 模擬業務や企業連携の有無
就労移行支援事業所の中には、仕事を模した模擬業務プログラムや、企業と連携し実際の職場で実習を行うプログラムを提供しているところもあります。これらのプログラムでは業務の流れや職場の雰囲気を実際に体験しながら、職場で必要なスキルを身につけることができます。
事業所に通いながら業務を体験できるため、まだ働く準備が整っていない方でも実践的な経験を積みやすく、スキルも身につけやすくなり、働く自信にもつながります。就職に向け、まずは業務を体験して働く感覚を取り戻したいという方には、このような支援が充実した就労移行支援事業所がおすすめです。
プログラム内容や企業との連携情報は、事業所のホームページで公開されていることが多く、パンフレットや資料請求が可能な場合もあるため、気になる事業所についてはぜひ一度チェックしてみましょう。また、見学や体験入所を受け付けている事業所も多くありますので、実際の雰囲気を確認するのもおすすめです。
Point.3 生活リズムの改善とメンタルヘルスのサポート
就労移行支援事業所では、就職活動のサポートだけでなく、生活リズムの整え方やメンタルヘルスのサポートも重要な役割を担っています。特に生活リズムが乱れがちな方や、就労への不安やストレスを感じている方には、専門スタッフが一人ひとりに合った方法で支援を提供しています。
例えば、日常生活のリズムを整えるアドバイスや、心の健康を保つためのカウンセリングを行うことによって、より健康的な生活基盤を築くことができます。
メンタルヘルスのサポートも就労の成功に欠かせません。精神保健福祉士や公認心理師などの資格を持つ専門家が、利用者が就職に向けて抱える不安や悩みに寄り添い、メンタル面での安定をサポートします。
こうした生活リズムやメンタルサポートに力を入れている就労移行事業所は、安心して長く働き続けるための基盤を作りたい方に特におすすめです。
Point.4 スタッフの専門性や資格
スタッフの専門知識や経験は、支援の質に直結します。障害福祉や心理的なサポートに関する資格や経験を持っているスタッフがいるか、また、利用者一人ひとりに合わせた個別対応ができるかどうかも大切なポイントです。
どのようなスタッフが働いているかを確認するのは難しいこともありますが、事業所によってはホームページ上で公開していたり、問い合わせることで回答を得られることもあります。こちらも一度チェックしてみると良いでしょう。
就労移行支援事業所のスタッフが持つ資格としては以下のようなものがあります。
精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神的な不安や障害を持つ方への支援に特化した国家資格です。メンタルヘルスケアや、生活面のサポートを通じて、精神的に安定した状態で就職活動に取り組めるような支援が可能です。
公認心理師
公認心理師は心理師の国家資格で、心理支援の専門家として利用者一人ひとりの心の状態をしっかり理解し、その人に合ったサポートを提供できます。また、カウンセリングを行うことで就職に対する不安やストレスを和らげ、仕事への不安や過去の経験からくる心の負担が減らせるような支援を行います。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントはキャリアに関する国家資格で、就職活動や職場でのキャリア形成に向けたアドバイスを行います。適職診断やキャリアプランニングを通じて、自分に合った仕事を見つけられるよう支援します。
産業カウンセラー
産業カウンセラーは職場でのメンタルヘルスやコミュニケーション支援に強みを持つ資格です。ストレス管理や職場環境での適応をサポートし、働き続けるための精神的な支援を行います。
Point.5 就職支援後のフォローアップ
就職後の定着支援は、就労移行支援事業所を選ぶ上で非常に重要なポイントです。特に、就職後の初期段階では、どんな職場でも新しい環境や仕事に対する不安やストレスがつきものなため、就職後にしっかりとしたフォローアップやサポートが期待できるというだけでも就職に対する不安を軽減することができます。
定着支援が充実している事業所では、就職後に直面する不安や悩みに対して、その都度専門的なアドバイスや支援を受けることができます。例えば、職場の人間関係のトラブルや業務の進め方に関する悩み、心身の疲れやストレスへの対処法などにも対応してくれるため、安心して仕事を続けることができます。
また、こうしたサポートがあることで早期の離職リスクを減らすことができ、長期的に働き続けるための自信をつけることができます。就職後も定期的なカウンセリングやフォローアップがあれば、自分のペースで順調に職場に馴染み、自信を積み重ねることができるでしょう。
そのため、就職支援後にどのようなフォローが行われるのか、事前に確認しておくことをおすすめします。就職後のサポートがしっかりしている就労移行支援事業所を選ぶことで、より安心して仕事に取り組み、長期的な職場定着を目指すことができます。
Point.6 立地と通いやすさ
一般的に、就労移行支援事業所は利用者が継続的に通うことが前提となるため、通いやすさは選ぶ際の非常に重要なポイントの一つです。通所にかかる距離や時間が長くなってしまうと、その移動自体が大きなストレスとなり、結果的に通所が難しくなったり、利用を続ける意欲が低下してしまう可能性があります。そのため、通いやすい場所にある事業所を選ぶことは、利用の継続性を高めるためにも特におすすめです。
公共交通機関を利用する場合には、最寄りの駅やバス停からのアクセスの良さを確認しておくことが重要です。移動の利便性が高ければ、毎日の通所が負担に感じにくく、精神的な負担も軽減されます。
また、車や自転車で通所する場合には、駐車場や駐輪場の有無もチェックポイントとなります。
就労移行支援事業所は長期的に利用する場所なため、通いやすさはその後の支援の質にも大きく影響します。通所の負担をできるだけ少なくするためにも、立地や交通手段をしっかりと考慮した上で選択することが重要です。
まとめ
この記事では、就労移行支援事業所を選ぶ際のポイントについて解説してきました。
- 支援内容やプログラムが自分に合っているか
- 模擬業務や企業との連携があるか
- 生活リズムやメンタルヘルスのサポートはあるか
- スタッフの質が適切か
- 就職後のフォローアップが充実しているか
- 通いやすい場所にあるか
これらのポイントを踏まえた上で、さらに自分がどのような支援を求めているのかを考え、最適な事業所を選ぶ参考にしていただければと思います。
ご自身に合った就労移行支援事業所を見つける際に、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
あいち就労支援センターについて
あいち就労支援センターは、名古屋市指定の就労移行支援事業所です。精神的な問題で離職された方々の社会復帰をサポートし、発達障害、うつ病、適応障害、不安症、双極性障害など、様々な症状の方々にご利用いただいています。
当施設では、メンタルサポートに力を入れており、公認心理師の資格を持つ専門の心理師が利用者様一人ひとりに専任で付き添います。個別カウンセリングを通じて、生活リズムの不調や就職に対する困りごとにじっくりと向き合い、お悩みに寄り添った支援を行っています。
また、コミュニケーションスキルや面接練習といった基本的な支援から、認知行動療法に基づく専門的なプログラムまで、幅広い内容をご提供しています。
施設は池下駅から徒歩2分の場所にあり、アクセスも良好です。初回相談は無料で受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。