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自閉スペクトラム症(ASD)と不安:原因と改善策について

自閉スペクトラム症(ASD)と不安:原因と改善策について

自閉スペクトラム症(ASD)の傾向を持つ方の中に、不安の感じやすさに困難を感じている方が一定数います。そして、この不安が日常生活に大きな影響を及ぼすことがあり、生活の質が低下するケースも少なくありません。この記事ではASDで起こりやすい不安の内容やその改善策について解説します。

ASDに生じやすい不安の内容

1. 変化に対する不安

ASDの特性として、予測できない状況や変化に対して強い不安を抱きやすいことが挙げられます。例えば、スケジュールの変更や新しい環境への適応など、日常生活で予測できない出来事が不安の原因になります。ASDの人にとって、予測できない状況は混乱を引き起こし、安心感が揺らぎやすくなる場合があります。

2. 対人関係やコミュニケーションに関する不安

ASDでは、対人コミュニケーションに苦手意識を持つことが多く、これが不安の大きな原因となる場合があります。例えば、「他人の意図がわからない」「自分の表現が誤解されているのではないか」という不安が、人と接すること自体へのストレスや不安を生じさせます。これにより、社会的な場面を避けたり、結果として孤立を深めることにつながる場合もあります。

3. 感覚過敏による不安

ASDの特性として、音、光、匂いなどへの感覚過敏があり、これが日常生活におけるストレスとなることが多くあります。例えば、日常生活での急な音や明るい照明、強い匂いなど、感覚が過剰に刺激される場面で強い不安が引き起こされ、外出や人と関わることを避けるようになるケースもあります。

4. 自己評価や失敗への恐怖

ASDの傾向を持つ場合、ミスを許せない、または他者の期待に応えられないことへの不安を抱きやすい傾向があります。こうした自己評価の低さや失敗への恐怖は、二次的な不安症状や、自己否定や抑うつ気分の原因になる場合もあります。

不安を和らげるための改善策

1. 予測できる習慣を計画する

ASDの傾向を持つ場合には、予測できる環境で安心感を得やすいため、できる限り生活にルーティンを取り入れることが有効です。毎朝決まった時間に起きる、スケジュールを目に見える用に書き出すなど、日常に一定の流れを持たせることで、不安を和らげる効果が期待できます。また、急な予定変更に備え、予定変更があったとき用の「緊急用のプラン」を準備しておくと安心感が増します。

2. コミュニケーションスキルの向上

対人不安に対しては、コミュニケーションスキルを学び、練習することができます。具体的には、ソーシャルスキルトレーニング(SST)と呼ばれる方法があり、自分の意見を伝える方法やその場に応じたふるまい方を学ぶことで、対人不安が緩和されることが期待できます。専門家と練習することで、不安を減らしながらコミュニケーション能力を高めることができます。

3. 感覚過敏を和らげる対策

感覚過敏による不安を減らすためには、過剰な刺激を避ける環境を整えることが大切です。例えば、騒音対策として耳栓やノイズキャンセリングヘッドホンを使用したり、眩しい光を避けるためのサングラスを活用することが効果的な場合があります。

4. リラクゼーションの導入

不安を軽減するために、リラクゼーションも有効です。特に、深呼吸やマインドフルネスなどは、感覚過敏を伴う不安やストレスを緩和する効果が期待されます。

5. カウンセリングや心理支援を活用する

不安が深刻な場合、公認心理師等、心理カウンセラーのサポートを受けることも有用です。認知行動療法(CBT)は、不安に対する効果が認められており、自分の不安に対する考え方や対処法を学ぶことができます。心理支援を受けることで、不安の原因に取り組みながら、日常生活の質を向上させることが可能です。

まとめ

自閉スペクトラム症(ASD)を持つ人々にとって、不安は生活の質を低下させる二次障害として現れることが多いですが、日常生活の工夫や支援によって改善が期待できます。予測可能な生活リズムを整えることや、感覚過敏対策、リラクゼーションの導入が、不安を和らげる一助となります。

あいち就労支援センターでは、ASDを持つ方々が安心して生活できるよう、不安のマネジメントや対人スキルの向上をサポートしています。お困りのことがあれば、ご相談してみてくださいね。

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