注意欠如・多動症 (Attention Deficit Hyperactivity Disorder:ADHD) の方は、
不注意、多動性、衝動性などの特性により、職場でさまざまなお困りごとに直面することがあります。
このコラムでは、注意欠如・多動症の方が職場で困りやすい場面、就職活動や
入社後のポイントについてご紹介します。
職場でのお困り場面
注意欠如・多動症の方には「実行機能の障害」があり、計画を立てたり、
行動を抑制したりすることが苦手になりやすいと言われています。
時間の見積もりの甘さや先延ばしにより、頼まれた仕事が締め切りに間に合わないなど、
本来持っている能力をうまく発揮できないこともあります。
また、作業Aをしている最中に作業Bを頼まれて、作業Aのことを忘れてしまったり。
あるいは、不注意によるうっかりミスや、なくしものが目立ったりすることもあります。
本人に悪気はなくても、このような特性から、職場で信用を失ってしまうことも考えられます。
また、モチベーションを継続することが難しく、退職を繰り返してしまうこともあります。
就職活動でのポイント:特性を理解したうえで仕事を選ぶ
特性のあらわれ方は、人によってさまざまです。
「注意欠如・多動症だからこの仕事が向いている・向いていない」とは一概には言えません。
自分の特性を理解したうえで仕事を選ぶことが大切です。
Aさんの場合
例えば、Aさんは人と話すことが好きで、アイデアが豊富だけれど、「落ち着きがない」と言われます。
このためAさんは、デスクワークよりも、体を動かす仕事の方が合っているのではないかと考えました。
現在、特性にマッチした、イベントの企画や運営に携わるお仕事を探しているようです。
Bさんの場合
一方で、作業スピードが速いものの、うっかりミスが多いBさんは、作業の終了後に
ダブルチェックをしてもらえる障害者枠でのお仕事を探しているようです。
とはいえ、自分の特性を知ることは案外難しかったりもします。
当センターでは、特性を知る手掛かりになる心理検査を実施しています。
心理検査を受けてみたい!という方は、ご連絡をお待ちしております。
自分の特性のトクイ・ニガテの傾向をつかむ「WAIS」 – あいち就労支援センター (cbt-career.nagoya)
また、障害者枠で働く場合は、自分の特性と求める配慮を職場に伝えることができる
「プロフィールシート」の作成も、スタッフがお手伝いすることができます。
入社後のポイント:苦手なことをカバーする
職場では得意なことを活かすだけでなく、苦手なことをカバーすることも大切です。
・ミスを防ぐ
注意欠如・多動症の方は、耳で聞いた情報よりも、目で見た情報の方が覚えやすい場合が多いです。
なお、こうした傾向には個人差があり、当てはまらない方もいます。
このため、「口頭での指示を忘れてしまう」といった場合には、メモを取る、リマインダーを
使うなどの工夫が有効だと考えられます。
また、ミスが起こったときの状況を記録して、再発の防止策を考えることも大切です。
・感情コントロール
注意欠如・多動症の方は、怒りや落ち込みなどの感情コントロールが課題になる場合があります。
衝動的に怒ってしまったり、周囲のネガティブな評価が原因でうつ病を併発しやすいからです。
こうした困りごとがある場合は、怒りのパターンをつかんで予防したり、怒ってしまったときの
リカバリーをするとよいでしょう。
失敗したときに自分を責めすぎないことや、指摘されても自分自身を全否定されたわけでは
ないと考えることも大切です。
・職場に配慮をお願いする (障害者枠)
障害者枠で働く場合は、特性上どうしてもできないことについて、職場に配慮を
お願いすることもあります。
例えば、「周囲の音で気が散りやすいので、耳栓を使用させてもらう」などです。
自分の苦手分野を、得意な人に上手に頼るスキルも必要になってきます。
感謝の気持ちを忘れずに
自分の特性を理解し、サポートしてくれる人が職場にいるとベストですが、
「配慮してもらって当然」ではなく、感謝の気持ちも忘れないようにしましょう。
あいち就労支援センターでは、注意欠如・多動症を含め発達障害の特性理解や
心理的なサポートを行っております。
興味のある方はぜひ初回の無料カウンセリングにお越しください。