ADHD傾向を持つ方の中には、目標を設定し、目標を達成する過程で難しさを感じる方がいらっしゃるかもしれません。特に、目標が曖昧だったり、課題が複雑すぎたりすると、途中で挫折してしまうこともあるでしょう。
もしかすると、これはADHD傾向によるものであり、自分を責める必要はないかもしれません。この記事では、ADHDの人が目標設定に困難を感じる背景と、その改善策について考えてみましょう。
ADHDで目標設定が難しいと感じる理由
1. 長期的な計画を立てるのが難しい
ADHD特性をもつ方は、未来のことを見通して計画を立てることが難しいと感じる場合があります。目標が遠すぎると、その間の具体的なステップが見えにくくなり、「どう進めばいいのかわからない」と感じてしまうことがあります。
2. 興味が続かない
ADHDでは、興味が薄れると課題に集中しづらくなる場合があります。目標設定の段階ではやる気に満ちていても、進めていくうちに新しいことに興味が出てきたり、モチベーションが下がったりすることがあります。
3. 複数の課題が同時に浮かぶ
目標に向けて取り組んでいる途中で、他の課題やアイデアが浮かび、それに気を取られることがあるかもしれません。このような状況では、元の目標に集中するのが難しくなることがあります。
4. 目標が曖昧で具体性に欠ける
「運動をする」「勉強を頑張る」といった目標を立てても、その具体的な内容やステップが明確でない場合、次に何をすべきか迷ってしまうことがあります。曖昧な目標では、途中で挫折しやすくなるかもしれません。
5. 課題の優先順位付けが難しい
ADHDでは、目標を達成するために何から手を付ければよいのかを決めるのが難しいと感じる場合があります。このため、行動に移す前に「どうしたらいいのだろう?」と困惑することがあるかもしれません。
目標設定をうまく進めるための改善策
目標設定をよりスムーズに進めるためには、自分に合った工夫を取り入れることが大切です。以下に、ADHDの特性に配慮した改善策をいくつか紹介します。
1. 目標を具体的に設定する
目標が曖昧だと、何をすべきか迷いやすくなります。「運動をする」ではなく、「毎朝20分ウォーキングをする」といった具体的な行動に落とし込むことで、進むべき道筋が明確になります。
工夫例: 「1日に2回、5分間のストレッチをする」など、簡単で具体的な目標を設定しましょう。
2. 短期目標を設定する
長期的な目標を立てるのが難しい場合は、短期目標に分けるのがおすすめです。短期目標をクリアするたびに達成感を得られるため、モチベーションを維持しやすくなります。
工夫例: 「1週間以内にタスクAを終える」「今日中に3つの項目をクリアする」など、小さな目標を設定しましょう。
3. 目標を視覚化する
課題を視覚的に把握することで、優先順位や進捗がわかりやすくなります。ホワイトボードや付箋、アプリなどを使って、目標や課題を整理すると良いでしょう。
工夫例: 「課題リストを作り、終わったものにチェックを入れる」ことで、達成感を得ながら進めましょう。
4. タイムブロッキングを試す
目標達成のために必要な時間を具体的に割り当てる「タイムブロッキング」という方法も効果的です。これは、1日のスケジュールをあらかじめブロック(区切り)に分け、それぞれの時間に特定のタスクを割り当てる方法です。
工夫例: 「午前中は資料作成、午後1時から30分はメールチェック」といった具合に、時間ごとにタスクを割り当てましょう。
5. 自分へのご褒美を設定する
目標を達成した際に小さなご褒美を用意することで、モチベーションを維持する助けになります。ご褒美は、好きな飲み物を楽しむことや、好きな番組を観ることなど、簡単なもので構いません。
工夫例: 「このタスクを終えたら、10分間YouTubeを見る」といった具体的なご褒美を用意しましょう。
6. サポートを求める
目標達成のプロセスで困難を感じたときは、家族や友人、専門家のサポートを活用するのも良い方法です。他者と目標を共有することで、モチベーションが高まることがあります。
工夫例: 「誰かにLINEで報告をする日」を設けることで、進めるペースを維持しましょう。
まとめ
目標設定が難しいと感じるとき、それはADHDの特性によるものかもしれませんが、自分に合った方法を取り入れることで、少しずつ改善することができます。焦らず、自分に合ったペースで進めることが大切です。
また、目標を達成できなかった場合でも、自分を責めるのではなく、「どこを調整すれば次はうまくいくか」を考えることで、前向きに取り組むきっかけを作ることができます。
自分の特性に向き合いながら、目標達成を楽しむ方法を見つけていけると良いですね。
あいち就労支援センターでは、こうした目標設定についてのお困りごとについて専門家がサポートしています。お困りのことがあれば、ご相談してみてくださいね。