自閉スペクトラム症(ASD)の傾向がある人にとって、普段の予定やルーティンは安心感をもたらす大切な支えになります。しかし、長期休みのように生活リズムや環境が大きく変わる時期には、思わぬストレスや混乱が生じることがあります。
特に予定が減ったり、活動のペースが不規則になることで、調子を崩しやすくなる傾向があるかもしれません。
まず、長期休みでは日中の過ごし方が不規則になりやすく、概日リズム(体内時計)の乱れが起こる可能性があります。
就寝や起床の時間が日ごとに変化したり、昼夜逆転に近い生活になると、気分や集中力にも影響が出ることがあります。特に感覚の過敏さや疲れやすさを持つ人の場合、リズムの乱れは生活全体に負担をかける要因となります。
また、学校や職場といった外部の予定がなくなることで、「何をすればよいかわからない」「一日中気持ちが落ち着かない」といった困難を感じることも少なくありません。
タスクがなくなることで安心するよりも、逆に予定が空白になることによって不安を強めてしまう場合もあります。
自分で時間を管理し、活動を組み立てることに負荷を感じやすい場合、長期休み中の過ごし方を前もってある程度決めておくことが有効です。
人との関わりが減ることで、気分が内向きになったり、反すう思考が強まりやすくなる点にも注意が必要です。
特に、自分の過去の行動を何度も思い返してしまう傾向がある場合、孤立的な時間が続くことで否定的な考えが深まり、体調や睡眠にまで影響を及ぼす可能性があります。
このようなときには、連絡できる人とのつながりを持っておくことや、意図的に外出の予定を組むことを考えてもいいかもしれません。
加えて、休み明けの再適応も見逃せないポイントです。
休み中にリズムが大きく崩れてしまうと、学校や職場への復帰時に強いストレスがかかることがあります。登校・出勤の初日に備えて、数日前から生活リズムを徐々に戻すこと、前日に服や持ち物を準備しておくことなど、復帰に向けた「ならし期間」を設けておくと、スムーズに再スタートしやすくなります。
長期休みは環境の変化による刺激が多く、ストレスがたまりやすい環境になり得ます。しかし、その特性を理解したうえで、自分に合った形で環境を調整しておくことで、安心して過ごすことも可能です。
無理に活動的に過ごそうとするのではなく、「何をしないか」も含めて計画に組み込み、あらかじめ見通しを立てることが、安心感と安定した生活の鍵になるかもしれません。