コラム

COLUMN

自閉スペクトラム症(ASD)の方が仕事で困りやすい場面や、仕事を続けていくコツをご紹介します! 

自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder : ASD)とは、

主に「対人関係や社会的場面でのコミュニケーションの問題」「限定された興味関心とこだわりの強さ」を特徴とする神経発達症のひとつです。

人によっては、感覚の敏感さや鈍感さといった困りごとを持ち合わせている場合もあります。

自閉スペクトラム症の特性をお持ちの方は、学生の時は大きく困らない場合もありますが、

社会に出て働き始めると困りごとを強く感じるようになることがあります。

今回は、このような方々が心身ともに健康な状態で、安定して仕事を続けていく方法について考えていきたいと思います。

なお、もっと詳しく自閉スペクトラム症について知りたい方は、こちらのコラムも参考にしてみてください。

自閉スペクトラム症とお仕事

一般的に、自閉スペクトラム症の方は、作業のすすめ方や対人コミュニケーション場面でつまづきやすいと言われています。

しかし、同じ自閉スペクトラム症という診断があったとしても、特性のあらわれ方は人によってさまざまです。すなわち、困りやすい場面も人によって違います。

例えば、相手の立場に立って考えることの苦手さがある場合は、

その場にそぐわない不用意な発言をしてしまうことがあるかもしれません。

あるいは、こだわりの強さから、

興味が持てない作業に取り組むことに強い苦痛を感じるかもしれません。

もしかすると、感覚の過敏さから、

周りの人の話し声が気になってしまい、作業に集中することが難しいことがあるかもしれません。

そのため、「自閉スペクトラム症だからこの仕事が向いている・向いていない」と一概に言うことはできません。自分の特性を理解したうえで仕事を選ぶことが大切です。

あいち就労支援センターでは自分の特性を知るためのプログラムをご用意しております。

まずは、ご自身の特性について理解を深めましょう。

では、特性のタイプ別に、困りごとに合わせた対策の例を見てみましょう。

曖昧な表現が苦手なAさんの場合

真面目にコツコツと作業をすることが得意なAさん。

理解した作業は問題なく進めることができる一方で、

「前みたいにやっておいて」と指示されてもどのようにしたらいいのか分からず

作業を進めることができないなどの悩みがありました。

また、上司に困ってしまった過程を一から説明していると

「何を聞かれているのか分からない」「手短に言って」と𠮟責されてしまい

困惑してしまうことがありました。

一方で、「分からないことがあったらいつでも聞いて」と言われていたために、困りごとがでたらすぐに聞くようにすると

「その話あとにして」と言われてしまい、どのタイミングで質問していいか分からなくなってしまいました。

自分マニュアルを作る

Aさんは、コミュニケーションにおいて相手の求めていることがつかみにくく、

求められている以上に話してしまったり、反対に少なすぎてしまう傾向がありました。

このような方は、上手にコミュニケーションをとるためのマニュアルを作ることがオススメです。

曖昧な表現が分かりにくい場合は

具体的に「いつまでに」「どの作業を」「どのような状態」に明確するような

「質問のテクニック」を身につけるといいかもしれません。

また、細かく話しすぎてしまう方は、

自分でフローチャートを作り、フローチャートに沿って端的に伝える工夫も役立つかもしれません。

あるいは、報告・連絡・相談のタイミングが分からなくなりやすい方は、

進捗具合や期間を指標にして話しかけるタイミングをルールとして決めてしまうのもいいかもしれません。

もしくは「少しお時間大丈夫ですか?」とクッション言葉を使うことも相手の状況を知るために役立つテクニックです。

自分のペースが崩せないBさんの場合

自分の専門分野を行うことは得意なBさん。

その一方で、コミュニケーション面では、興味のない話をすることが苦痛

同僚とのやりとりがうまくいかないという困りごとがありました。

また、仕事の進め方については、上司から指示に対して「非効率だ、納得できない」と感じると

仕事に手をつけずに周囲の人とトラブルになってしまうことがありました。

感情面では、仕事中に他の職員から話かけられると、

自分が思ったペースで仕事を進めることができず

イライラした気持ちが抑えられなくなってしまうことがありました。

注意集中の面では、事務所内の電話の着信音や話し声が気になり作業に集中できず、仕事の期限を過ぎてしまうこともありました。

障がい者雇用枠で働く

Bさんは、対人関係や仕事の進め方、感情面、注意集中という様々な側面で困りごとを感じていました。

もし、自分だけでは対処が難しいと感じる場合は

障がい者雇用枠で働くことも一つの手です。

障がい者雇用枠では、その方の障がい特性に応じて、職場に配慮をお願いしながら働くことができます。

例えば、お昼休みの雑談など目的のないコミュニケーションが難しい場合は、

「そっとしておいてほしいこと」を周囲に理解してもらうとゆっくり休めるかもしれません。

また、聴覚過敏があり、周囲の音の影響で気が散りやすい場合は

耳栓イヤホンなどの使用の許可をお願いすることもいいかもしれません。

また、自分のペースが乱れると感情が揺れてしまいやすい場合は、

その場で深呼吸をする飲み物などを飲んでみる少し席を外して気持ちを整えるなど

職場で気持ちを落ち着けるための工夫を用意しておくといいかもしれません。

障がい者雇用枠で求める配慮が可能かどうかは、企業の業務内容によります。
このため、あくまでも「お願い」と考え、過度な期待はしないことも必要です。

お互い気持ちよく働くためにも、相手への感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。

働き続けるために

  • ストレス発散

お仕事や日常生活を上手く送るために、

たくさんの工夫と対策をしているとどうしてもストレスが溜まって疲れてしまうときがあります。

そんなときのために

リフレッシュする活動発散できる方法をできるだけたくさん確保しておくこともオススメです。

ゆっくりお風呂に入る、美味しいものを食べる、お散歩に行くなどなど。

自分に合った活動を探してみてください。

  • 相談する

困ったときに自分だけで抱えこまず、相談できることが大切です。

例えば、職場で注意されてしまい、

一人で抱え込んでモヤモヤが継続して気持ちが落ち込んでしまうことがあるかもしれません。

このような困ったときに相談できるような相手を職場の中、プライベートがあると安心です。

障害福祉制度の中には、就労定着支援といった就職後のサポートする制度もあります。

あいち就労支援センターでは個別のカウンセリングや集団プログラムにて自分の特性との付き合い方やストレスの対処法について考えることができます。

当センターにご興味がありましたらぜひ一度初回のカウンセリングにいらしてくださいね。

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