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自閉スペクトラム症(ASD)と目標設定:うまくいかない原因と改善策とは?

自閉スペクトラム症(ASD)と目標設定:うまくいかない原因と改善策とは?

自閉スペクトラム症(ASD)傾向を持つ方にとって、目標を立ててそれに向かって進むことは簡単ではない場合があります。特に、目標が曖昧だったり、途中で計画が崩れたりすると、挫折感や不安を感じることがあるかもしれません。

ただし、ASDの特性に合わせた工夫を取り入れることで、目標を達成しやすくなることも期待できます。この記事では、ASDにおいて目標設定でつまずきやすい理由と、その改善策について解説します。

ASDにおける目標設定が難しいと感じる理由

1. 目標があいまいになる

ASDでは、目標があいまいな場合に、それをどのように達成したらいいのかがわかりにくいと感じることがあります。「健康的な生活を送りたい」などの抽象的な目標は、どのように行動に移せばよいのかわかりにくくなりがちです。

2. 過度なこだわりが計画を妨げる

完璧主義的なこだわりが強い場合には、一つの部分に多くの時間をかけすぎて、全体の計画が滞ることがあります。また、予定外の事態が起きた際に柔軟に対応するのが難しいと感じる場合もあります。

3. 目標の全体像を把握しづらい

目標が長期的で複雑な場合、その全体像を把握するのが難しいことがあります。このため、どの部分から手をつければよいのかがわからず、先延ばしにしてしまうこともあるかもしれません。

4. 予測不可能な状況への不安

ASDでは、予定外の出来事が起きた場合に、不安を感じやすいことがあります。目標に向けた計画が予定通り進まないとき、その不安が行動を止めてしまう原因になることもあります。

5. 感覚過敏や環境の影響

目標に向かう途中で、周囲の音や光、匂いなどの感覚刺激が集中を妨げる場合があります。特に、環境が整っていないと感じると、目標に向けた行動に取り組むことが難しくなることがあります。

目標設定をスムーズに進めるための改善策

目標設定を進める上で、ASD特性に配慮した工夫を取り入れることが重要です。以下の方法を参考に、自分に合ったやり方を試してみてください。

1. 目標を具体化する

抽象的な目標は行動に移しにくいため、できるだけ具体的な行動に分解してみましょう。「健康的な生活を送りたい」という目標であれば、「毎日20分歩く」や「週に2回野菜を多めに食べる」など、具体的な行動に落とし込むことが効果的です。

工夫例: 「一日一回、午前中にストレッチをする」といったシンプルで測定可能な目標を設定しましょう。

2. スモールステップで進める

大きな目標は、いくつかの小さなステップに分けて進めると取り組みやすくなります。一度に全てを達成しようとせず、小さな成功体験を積み重ねることで、自信を持ちながら進むことができます。

工夫例: 「3日間続けられたらカレンダーにチェックを入れる」「1週間後に進捗を確認する」といった短期的な達成目標を設けましょう。

3. 視覚的なツールを活用する

目標やタスクを視覚化することで、全体像を把握しやすくなります。ホワイトボードやアプリ、付箋を使って進捗を整理する方法が効果的な場合も多くあります。

工夫例: タスクごとに色分けした付箋を使い、完了したら付箋を取り除くことで、課題の進捗を理解しやすくしましょう。

4. 柔軟性を持たせる計画を立てる

予定外の出来事が起きても対応できるよう、計画に余裕を持たせることが大切です。完璧を目指すのではなく、「少し崩れても大丈夫」と考えられる計画を立てることで、不安を軽減できます。

工夫例: 「週5回運動する」ではなく「週に3~5回運動する」という幅を持たせた目標を設定しましょう。

5. 感覚過敏に配慮した環境を整える

作業や行動に集中するためには、自分がリラックスできる環境を整えることも重要です。音や光など、感覚的に落ち着ける場所を選ぶと良いでしょう。

工夫例: ノイズキャンセリングヘッドホンや、暖かい色の照明を取り入れることで集中しやすい空間を作りましょう。

6. サポートを活用する

家族や友人、専門家のサポートを受けながら目標を進めるのも良い方法です。第三者に進捗を共有することで、自分のペースを保ちながら進むモチベーションが得られることがあります。

工夫例: 信頼できる人と目標を共有し、定期的に進捗を確認する機会を設けましょう。

まとめ

目標設定に困難を感じる場合、それはASD特有の特性によるものかもしれませんが、それを自分なりに工夫して取り組むことで、少しずつ改善していくことが可能です。焦らず、自分にとって負担の少ない方法を選び、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。

目標設定は一筋縄ではいかないこともありますが、具体化、スモールステップ、視覚化といった工夫を取り入れることで、達成感を得やすくなるかもしれません。

自分の特性を理解しながら、無理のない範囲で目標を設定し、少しずつ前進していけるように目標設定を工夫してみませんか?

あいち就労支援センターでは、こういった目標設定についてのお困りごとについて専門家がサポートしています。お困りのことがあれば、ご相談してみてくださいね。

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