気候変動のせいか毎年、最高気温を更新する地域があったり、お盆を過ぎても厳しい暑さが続くことがあります。ニュースでは熱中症への注意が繰り返し呼びかけられていますが、暑さは身体だけでなく、仕事の集中力や気分にも影響することがあります。
実際、暑い時期には作業に時間がかかったり、些細なことでイライラしたりしやすくなると感じる方も少なくありません。
こうした変化があると、「集中力が足りない」「余裕のない性格になった」と考えてしまうかもしれません。しかし、暑さが続く時期には、気持ちだけでなく、身体と環境の影響も確かめる必要があります。
暑さが心や脳に与える影響
高い気温とメンタルヘルス上の問題との関連は、複数の研究で報告されています。
ただし、暑い日が一日あっただけで精神疾患になる、という意味ではありません。影響の出方は、その人の体調、暑さにさらされた時間、湿度、睡眠、作業内容などによって異なります。
暑い環境では、身体は汗を出したり、皮膚の血流を増やしたりして、体温を下げようとします。
のどの渇き、だるさ、汗の不快感などが続けば、それだけ目の前の作業へ注意を向けにくくなります。暑い夜に十分眠れなかった場合は、翌日の集中力や気持ちの余裕も失われやすくなります。
暑さと認知機能についての研究では、反応の速さや情報を処理する力が低下したという報告がある一方、影響がはっきりしない研究もあります。
どのような課題を、どの程度の暑さの中で、どれくらい続けたかによって結果が変わるためです。それでも、「暑くても普段と同じように考えられるはず」と決めつけないことは大切です。
暑い日を乗り切るための身体と仕事の工夫
暑い日にミスやイライラが増えたときは、考え方を見直す前に、まず身体と環境を整えます。
エアコンの効いた場所へ移る、水分をとる、衣服を調整する、短い休憩を入れるといった対応を先に行います。天気予報の最高気温だけでなく、湿度や日差しも含めた暑さ指数(WBGT)や 、熱中症警戒アラートを確認する方法もあります。
仕事では、判断が多い作業を比較的涼しい時間帯や場所に移す、作業を短く区切る、送信前の確認項目を決めておくといった工夫が考えられます。
イライラした状態で返信したくなったときも、相手との関係だけを考え続けるより、涼しい場所で身体を落ち着かせてから文章を読み直す方が役立つかもしれません。
体調不良(熱中症)のサインを見逃さないために
ただし、集中しにくさや強いだるさを、すべてメンタルの問題として扱うのは危険です。
暑い場所で、めまい、立ちくらみ、大量の発汗、筋肉のつりなどが出た場合は、熱中症が疑われます。
涼しい場所へ移り、身体を冷やしてください。自力で水分を飲めない、意識がはっきりしないときは、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
困ったときの対処法とご相談窓口
困ったときはどうしたらいいでしょうか。
まずは、「暑さ」「睡眠」「仕事量」「気分や集中の変化」を数日間だけ記録してみると、調子を崩しやすい条件が見えやすくなります。
涼しい環境で休んでも気分の落ち込みや不眠が続く、仕事や生活への影響が大きいときには、医療機関や専門家へ相談することも大切です。
ここケアワークスでは、さまざまなプログラムを通して、イライラへの対処法やリラックスのコツを身につけることができます。また、睡眠の質を改善するためのプログラムもご用意しています。
自分だけで抱え込まず、調子を整えるための具体的な方法を一緒に探していきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/ - Thompson et al.(2023)気温とメンタルヘルスに関する系統的レビュー・メタ分析
https://www.thelancet.com/journals/lanplh/article/PIIS2542-5196%2823%2900104-3/fulltext - Dupont et al.(2023)職場の高い室温と認知機能に関する系統的レビュー
https://www.tijdschriftvoorpsychiatrie.nl/en/artikelen/article/50-13170_Hoge-omgevingstemperatuur-en-cognitieve-prestaties-binnen-werksetting-systematische-review
