こんなことはありませんか? 職場で大きなトラブルがあったわけではないのに、人と話したあとに強く疲れてしまう。上司や同僚の言葉の意味を何度も考えてしまう。雑談や会議のあとに、「あの返事でよかったのだろうか」と気になって、仕事以外のところで消耗してしまうことがあります。
職場の人間関係は、仕事の内容そのものとは別に、多くの情報処理を必要とします。相手の表情、声のトーン、話すタイミング、距離感、暗黙のルールなど、言葉にされない情報を読み取る場面が多くあります。社交不安症や強迫症、神経発達症の傾向がある方にとっては、こうした場面で余計なことを考えるのをやめられなかったり、相手も覚えていないような些細なことにこだわったりする場合があります。
発達障害や精神的な傾向による影響
自閉スペクトラム症の方の中に、相手の意図や場の空気を読み取ることに時間を掛けすぎる方があります。たとえば、上司の「あとで確認しておいて」という言葉が、今日中なのか、今週中なのか、どの程度まで確認すればよいのかを考え込んでしまうことがあります。また、同僚との他愛もない雑談でも、どこまで話してよいか、いつ話を終えればよいかが分からず、必要以上に緊張してしまうことがあります。
ADHDでは、会話中に注意がそれたり、思いついたことをすぐに話したくなったりすることがあります。そのため、相手の話の途中で発言してしまったり、話題がずれてしまったりする場合があります。本人に悪意がなくても、相手からは「話を聞いていない」と受け取られることがあり、それが人間関係の負担につながることがあります。
さらに、過去に注意された経験や誤解された経験があると、職場でのやり取りに対して不安が強まりやすくなります。「また変に思われるのではないか」「言い方を間違えたのではないか」と考え続けることで、仕事が終わったあとも頭が休まりにくくなります。このような反すう思考が続くと、実際の業務よりも人間関係の振り返りで疲れてしまうことがあります。
人間関係の疲れを和らげる工夫
職場の人間関係で疲れやすい場合には、すべてをその場で判断しようとしないことが役立つ場合があります。あいまいな指示を受けたときには、「今日中に対応する形でよいでしょうか」「この資料のこの部分を確認すればよいでしょうか」と具体的に聞き返すことで、解釈のズレを減らしやすくなります。雑談が負担になる場合には、天気や仕事の進み具合など、使いやすい話題をあらかじめ用意しておくと、会話の開始が少し楽になることがあります。
また、人間関係の疲れを減らすには、休憩の取り方も重要です。人と話したあとに少し一人になる時間を作る、会議のあとにメモを見直して事実と自分の解釈を分けるなど、頭の中を整理する時間を持つことで、疲労がたまりにくくなる場合があります。
つらさを抱えたときの対処と相談
困ったときはどうしたらいいでしょうか。 まずは、職場の人間関係で疲れることを「人付き合いが苦手だから」と一言で片づけず、どの場面で負担が大きくなるのかを見直してみてましょう。
指示のあいまいさ、雑談、会議、報連相など、負担の出やすい場面が分かると、対策を立てやすくなります。それでも疲れが強く、仕事や生活に影響している場合には、身近な人や専門家に相談しながら、自分に合った関わり方や環境調整を考えていくことも一つの方法かもしれませんよ。
